ここまできて速く叩くということは、
「いかに少ない動きや力で効率よくスティックをコントロールすること」
だと分かったと思います。
これはこれで一つの真理だと思いますが、今度は違ったアプローチを紹介します。
支点を固定し、指を使って叩くストロークは、もっとも速さに秀でる反面、
打面の固さや角度に左右されやすく、
また、小さい筋肉を休みなしで使い続ける(無酸素運動な)ため、
疲れやすいという欠点もあります。
手首を使ったストロークだと、動かす部位(筋肉)が指に比べて大きく、
疲れにくくはありますが、最高速で叩くということに関しては、あまり向いているとはいえません。
そこで、トラディッショナルグリップで使ったような、手首の回転を使います。
手の甲を上にして上下に動かす動きと、手首を回転させる動きを比べると、
手首を回転させる動きの方が、速く、もしくはストレス無くスムーズに動かせると思います。
これはごく自然なことで、人間の手は構造上そのようになっているのです。
・回転を使って叩いてみましょう
1)テイクバックを取るときに、外側にひねります。(ジャーマングリップの様に、
手の甲が上を向きます)
2)ひねりを戻すように、内側へ回転させてストロークします。(打面を叩く瞬間は
フレンチグリップ気味になります)
3)打面に当たったスティックがハネ返ったら、叩くときと逆方向に手首を回転させ、
再びテイクバックをとります。以降繰り返し。
基本的な動きは以上のような形で、あとは速くするに従って動作が小さくなり、
最終的には手首の小さな回転だけになります。
フィンガーのようにバウンドを拾いつつ、スティックをホールドしているので、
打面の固さや角度に左右されずに叩くことができます。
つまり、シンバル、スネア、タムなど、型さも角度もバラバラなドラムセットを叩くのに、
もっとも適したストロークの形と言えるでしょう。