モーラー奏法2 ~できること、できないこと~

前回、モーラー奏法とは何か?を大まかに(ホント大まかに)解説しました。
今度は、実際にモーラー奏法を使い演奏するに当たって、
できることと、できないこと、もっと正確に言えば、
モーラー奏法が得意なこと、不得意なことを解説してみたいと思います。

モーラー奏法といえば、パワーやスピードというイメージを持つ方が多いと思いますので、
今回はスピードに焦点を当ててみていきます。

「スピード」
モーラー奏法の代表的なストロークとして、
モーラーコンビネーションストロークがあります。
モーラーアクセントストロークからタップ、アップと続けて叩きます。
動画のEx-1でやっているストロークです。
このストロークのポイントは、タップをコントロールせずに、
アクセントのリバウンドをそのまま落とすだけで叩くことです。
加えて、アップは、前回解説したモーラーモーションの振り上げる動作の中で
行うので、結果的に1モーションで3打叩くことになります。
これが、モーラー=速いという図式のカラクリで、3発叩いているのに
2発分しかコントロールをしていないために、より速く叩けるのです。

ここからさらにスピードを上げようとするならば、
手先を使わずに、腕の振込みスピードを上げます。
一般的なストロークセオリー(フル、ダウン、タップ、アップ)と違い、
手や指に余計な力が入ると、それだけで失速してしまうので、
腕全体、特に手首から先は常にリラックスすることを心がけましょう。
余計な力を入れず、上手く腕が振れていれば、BPM=240の16分音符を叩くことも
そんなに難しいことではありません。(動画のEx-2。片手のストロークはアクセント、タップ、
タップ、アップ)

では、逆にゆっくり叩くのはどうでしょうか?
結論から言うと、ものすごくやり辛いです…
上で説明した通り、アクセント後のタップは、リバウンドを落とすだけなので、
遅すぎるテンポだと、間が取れずに落ちてしまい、指でコントロールせざるを得ません。
加えて、アクセントを叩く瞬間にグリップを解くので(スティックを放るような感じ)、
音もばらつくし、リバウンドも毎回正確に返ってくるとは限りません。(Ex-3)

以上のことから、モーラーコンビネーションストロークは、
ある程度のスピード以上で演奏するのに適した奏法で、
モーラー奏法だからといって、どんなフレーズでも上手く叩けるものではないということが
分かると思います。

【結論】
モーラー奏法は、タップのコントロールを省いたり、
モーションの中でストロークしていくので速く叩けますが、
1音1音正確にコントロールしているわけではないので、
音は暴れます(ばらつきます)。

YouTube Preview Image

モーラーのスピードについては、
Jojo MayerのDVD「Secret Weapons for the Modern Drummer」や、
Danny GottliebのDVD「Complete All-Around Drummer 1」が参考になると思います。
Jojoはモーラー奏法を丁寧に解説しているし、Dannyは奏法解説はあまりしていませんが、
今回紹介したモーラーコンビネーションストロークをものすごいスピードで実演しています。

次回は、モーラー奏法のパワーやダイナミクスについて書きたいと思います。

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