モーラー奏法1 ~モーラー奏法とは?~

最近ではモーラー奏法も知名度が上がってきたと思いますが、
それ故、誤解や偏見も多く見受けられます。
知らない方には、どういった奏法なのかを知ってもらい、
実際使っている方には、さらに上手く活用できるように、
何回かに分けて記事を書いていきたいと思います。

まず最初に、「モーラー奏法とは?」
モーラーとは人の名前です。Sanford A. Moeller(サンフォード・A・モーラー)さん。
書物によっては、ミドルネームのA(Augustus)を略してSanford “Gus” Moellerと
表記されているものもあります。
人の名前が奏法に冠しているので誤解されがちですが、
モーラーさんが発明した奏法ではありません。
彼が若い頃、手練のドラマー達に共通した動きがあることに気づき、
その動きと音の関連性ををまとめたのがモーラー奏法の元で、
それを教わった彼の生徒たちが、そのテクニックをモーラー奏法や、
モーラーメソッドと呼んでいました。

では、「いったいどんな奏法なの?」
一言で言うと、アクセント(強い音)を出すためのストロークです。
大きく腕を振ることで強い音を出します。
その動作から、鞭を振るう動き(ウィッピングモーション)と呼ばれますが、
現代では鞭を振るうことはあまりないと思うのでw、野球のボールを投げる動作などに
例えられます。
動画のEx-1を見ればどのような動きなのか分かると思います。
最初はスティック無し、次にスティックを持って素振りしています。

「モーラー奏法を使う上で大事なこと」
そもそも、アクセントをつけるためのストロークなので、強い力を生まなければいけません。
より強い力を出すために、腕の振りに、ひねり(回転)を加えます。
動画のEx-2でやっている動きです。

専門的には、これは回内(かいない)、回外(かいがい)という動きで、
スティックを振りかぶるときに行っているのが回内、
叩くときに行っているのが回外です。
前腕(肘から手首まで)には、尺骨(しゃっこつ)と、橈骨(とうこつ)という2本の骨があり、
尺骨は小指側についている骨、橈骨は親指側についている骨で、手のひらを上に向ければ、
2本の骨が平行になり、手のひらを下に向ければ、クロスします。
コチラのブログ記事(http://hanamaru-main.jugem.jp/?eid=864)や、
KITAJIMAのお絵かき研究所様(http://kitasite.net/b/musmob/arm3/)などを
みていただければ、実際の動きがイメージしやすいと思います。

さて、ざっくり説明しますが、骨がクロスすると、付随する筋肉が伸ばされます。
筋肉は伸びた状態から縮むときに力を発するので、ひねった腕を戻しながら叩く
モーラー奏法は大きな力で叩くことができるのです。

「モーラーモーション」「モーラーストローク」
では、実際のストロークに入っていきますが、
当サイトでは、「モーラーモーション」と「モーラーストローク」を分けて考えます。
モーラーモーションは、腕の動き。
モーラーストロークは、モーラーモーションを使い打面を叩いてリバウンドを得たところまで。
とします。動画のEx-3です。
何故、分けて考えるかというと、
腕の振りはモーラーモーションでも、叩いた瞬間に握りこんでしまうと(ストロークセオリーで言うところのダウンストローク)、それは正確なモーラー奏法ではなくなってしまうからです。
サンフォードモーラーやその支持者達は、リバウンドは決して殺さずに利用しなさいと
教えています。
このあたりを混同してしまうが故に、あれはモーラーだ!これはモーラーじゃない!とかいう、
不毛な論争が起きるのです。
もっと言えば、サンフォードモーラーの記した「モーラーブック」には、
細かい動作に関する記述がないので、人によって動作が違っているのも特徴で、
このあたりも、モーラーに対して物議を醸している要因だと思います。

YouTube Preview Image

では、今回はこの辺で、次回はモーラーテクニックで出来ることや出来ないことなどを
書きたいと思います。

ちなみに、今回のモーションについて詳しく記してあるオススメ書籍として、
John RileyのThe Jazz Drummer’s Workshopや、
Bill BachmanのStick Techniqueは非常に参考になりますので
持っていて損はないと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です