ドラムのチューニング 2 -Tuning-

前回に引き続きテーマはチューニングなんですが、
今回は、僕がドラムをチューニングするうえで気をつけていることや、
考えていることなんかを紹介したいと思います。
基本的には、知人や技術書などから得た知識をベースに、色々試してみて
今のやり方に落ち着きました。

ヘッドを張り替えてチューニングをする時に、
まず最初にやることは、新しく張るヘッドの状態を確認します。2013-10-18 15 46 05
ヘッドの高さが360°同じ高さであることを確かめます。
写真の赤い矢印のところです。
これが揃っていないと、いくら頑張っても均等なチューニングができません。
モノによっては1~数ミリずれているものもありますので、
もし、新しいヘッドがそうなっていたら諦めて違うものを買ってきてくださいw
そのほか、円が歪んでいないかをチェックすると良いと思います。

ヘッドのチェックが済んだら、張っていきます。
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僕の場合、裏から張っていきます。
よく、ヘッドを張っていない状態で、シェルの内側を叩いたときの音程がそのドラムの音程だ。
なんてことを言われますが、その音程にそろえても良し、揃えなくても良いと思います。
ちなみに、表のヘッドが張ってある場合、写真のようにタオルなどでミュートしておかないと、
ヘッドをチューニングしているときに鳴ってしまうので正確な音程がとりにくくなります。

ボルトにテンションがかかってくるまでは、各ボルト同じだけ回転させ、
その後は、大体45~90°くらいの回転を、よくチューニング法で紹介されているように
対角線状に順番を決めて締めていきます。
あとは、前回紹介したtune-botさんで音程を合わせていきます。

表も同じようにヘッドを張ります。
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両面張ることができたら今度は、表と裏の音程差ですが、
僕の場合、裏を表より1~2度高い音程に合わせています。
これによって、音の長さや鳴り方がちょうど良くまとまると感じています。
よく、表裏は4度差と言われたりもしますが、録音すると、
そこまで音程差が無い方が自然な鳴り方をするような気がしています。

ちなみに、裏は表より薄いヘッドを張っています。
音程差と合わせて、余計な倍音が出過ぎないためです。

ひとつひとつのドラムにヘッドを張ったら、最後にドラムセット全体で鳴りを確認します。
単体のタムが素晴らしい鳴りでも、全体で鳴らしたらイマイチ…なんてことは良くあることだからです。
ここで、注意したいのは、タム間の共鳴で、
一つを鳴らしたときに他の楽器が嫌な共鳴を起こしていないか。
もし、共鳴が気になるなら、ミュートを施したり、チューニングを変えたり、
色々試してみましょう。
ただし、共鳴は構造上、完全になくすことは出来ないので、神経質になりすぎないことも大事です。
僕は、嫌な共鳴を少しでも軽減させるために、タムの音程をキレイ(長3度や完全5度)にそろえないようにしています。
例えば、大きいタムからド、ミ、ソ等にすることは避けます。
音程には倍音という音が含まれていて、そこに含まれる音程を鳴らしたときに増幅されて、
共鳴がおきやすくなるのです。

ですが、逆に曲のキーに合わせてチューニングすることで、より音楽的に楽曲に馴染むという
考え方もあり、どちらが良いかというのは一概には言えませんが、
どちらも一度試してみて効果を実感してみるのが良いと思います。

以上のように、チューニングというのは、様々なことを実験、経験してみることが
上達の近道ではないかと思います。
僕のやり方は、マイクで収音することを前提に、いかに分離よく処理しやすい音で収音できるかというのを目指したやり方ですし、アコースティックなドラムの鳴りを最大限に!という音にしたいのなら、また違ったチューニングにした方が良いでしょう。

さらに、ヘッドの種類や厚み、メーカーなどでまたサウンドも変わってくるし、
もっと言ってしまえば、同じチューニングでもスティックが違えば違う音が鳴るので、
自分なりの音というのを研究してみると良いと思います。

ドラムのチューニング 1 -Tuning-

よく受ける質問で、ドラムのチューニングに関するものがあります。
やり方や、目指すサウンドなどは、人それぞれで正解が無いものだと思っているので、
明確な答えは出せないのですが、そういった技術を専門にしているドラムテックという職業があるくらいですから、つきつめていくと非常に奥深いというのがわかると思います。

僕自身は、ライブやレコーディングにおいて、出来るだけ他のマイクに干渉しない、
ドラム同士が変な共鳴をしない、かつ、出来るだけドラムが鳴るチューニングを目指しているのですが、その日の環境やコンディションなどに左右されるので中々難しいです。
そのあたりは経験で補うしかないと思うので、最近はいつでも同じ音でチューニングできるように、チューナーを使ってピッチを整えています。

具体的に使っている機材は、tune-botってヤツなんですが、
これが中々の優れもので、ドラム(打楽器全般)の音程をHz(ヘルツ)またはピッチ(音程)で
合わせることが出来ます。
これを使うことで、常にドラムセットを同じチューニングで保つことが出来るのです。
特に、レコーディングの現場など、何度もテイクを重ねていると
段々皮が伸びてきたり、振動でボルトが緩んだりして、
ピッチが下がることがありますが、これで計っておけば、常に同じピッチで録音ができるワケです。
実際、現場でも最近注目されているアイテムだそうです。

肝心の精度なんですが、
絶対音感を持つ知人が、自分の思うドラムの音程と一致すると言っていたので、
かなり信頼できると思います。
使い方も簡単で、リムに一箇所クリップで留めておくだけで、全ボルトのチューニングをすることができます。

ドラムセット全体でピッチを決めるとまではいかなくても、
タム一個ピッチをそろえてあげるだけで、驚くほどきれいに鳴ってくれるので、
一度、リハーサルスタジオのドラムで試してみてはいかがでしょうか?
結構世界が変わりますよ!

2013-02-27 13 51 58
ドラムの音程が目で見てわかるのでチューニングが捗ります。

このように、チューニングに関しては文明の利器に頼っているのですがw、
僕が実際どんな考えでチューニングをしているかは、次回書きたいと思います。